IPO(新規株式公開)は、企業にとって大きな成長資金を得るチャンスです。しかし、IPO後は株主や投資家の期待が株価に反映されます。従業員や関連企業のために利益を獲得することや事業を大きくすることなど対象は身内にフォーカスされていますが、株価が公開されると企業は広く一般の株主のものとなり、企業はそれまでとは異なる新たなプレッシャーの下で事業を進めることになります。
株主の期待と株価の関係性は、業績や成長計画に対する期待が高まると株価が上昇し、逆に期待に応えられないと株価は下落し、厳しい評価を受ける可能性があります。特に注意が必要な点は、業績は前年と比べて良くなっているにもかかわらず株価は下落することが多々あることです。これは、業績が良くなった事実に対して、株主が期待していた水準を満たせなかったことによる期待ギャップによる事象です。
そのため、上場企業が株主や社会に対する価値提供には株主等の期待に応えることも考えていくことになります。
たとえば、株式会社タイミーの例があります。タイミーは2024年7月26日に上場し、上場直後から市場で注目を集めました。特に、タイミーのビジネスモデルが時代のニーズに合っていることや、コロナ禍でリモートワークや柔軟な働き方が広がったことで、その成長性に大きな期待が寄せられました。7月26日の始値1,850円/株が9月3日には高値2,235円/株を付ける場面もありわずか1ヶ月で大きな期待を寄せ、IPOを通じた資金調達によってさらに成長が加速すると期待されました。
一方で、半導体で注目を集めているアメリカのエヌビディアは、8月末に第3四半期決算(2024年7月末)の発表を行い増収増益で業績は成長を見せたものの、投資家が期待していた高い水準には若干届かず、株価は下落しました。
このように、株主の期待が株価に直結することで、企業にとっては大きなチャンスとなる反面、その期待に応え続けるプレッシャーが伴います。